スタッフブログ

刃物の撮影

刃物撮影はグリッドライトで。

ここのところ刃物の撮影の打診が続いています。

ブツ撮りの中でも難しいものはいろいろありますが、刃物もかなり難しいですね。

依頼者さんもなんとなく察しているのか、「刃物撮影の経験はありますか?」と尋ねられます。

特に日本刀の場合、銃刀法の問題で持ち出しができなかったり、手入れがデリケートだったり、刃紋がうまく出なかったり…と大変です。

依頼が来るのは包丁やナイフの場合が多いですが、梱包が大掛かりになりやすく無駄に送料がかかるのでいつも出張で現場での撮影になります。

部屋で簡単にシミュレーションしてみました。

素材の質感を出すには柔らかい光の方がいいのですが、ソフトBOXの光そのままでは刃の部分に当たる光が面で当たるので綺麗なグラデーションが出しにくいです。

そこでソフトBOXにグリッドを付けました。

刃の部分の中にハイキーからローキーへのグラデーションを付けることでバランスの良い位置を探りながら撮影していきます。

GFX50SにAI AF Micro Mikkor F2.8D

GFX50Sに古いニコンのマクロレンズを付けていますが、意外とケラれがなく十分使えそうです。

四隅は若干ケラれますので、少し引きで撮ってトリミングの必要はあります。

ピントの深度も浅くなりがちなのでいつもより2段ほど絞った方が良さそうです。

これからのカメラマンはブツ撮りで生きていく

カメラがデジタルになったことで誰でもミスなく撮影ができるようになりました。

ミスがなければ仕事として受けても何の心配もありません。

ただその依頼者が「また次もお願いします」と言ってくれるかどうかはわかりません。

今回のナイフを撮影するだけでもグリッド、マクロレンズ、撮影用スタイリングボード、大型のレフ板、鏡、黒ケント紙、PLフィルターなどいろいろな道具を付けたり外したりしながらより良いイメージに近づけるように試行錯誤して撮影しています。

実際の現場ではその場の環境光が悪さをしたり、思ったより狭い場所でライティングを強要されたりと想定外の事態も起こり得ます。

結構大変なことを現場でやっているんです!

「その都度プロカメラマンに依頼するのはコストがかかり過ぎるから」と言って自社で撮影ブースを構築し従業員さんが撮影を担当しているという話もよく聞くようになりました。

しかしブツ撮りは、いい機材があれば誰でも撮れるというものではないんですよね。

ブツ撮りのススメ

現在ではLightroomなどの現像ソフトでレンズ特有の歪みの補正ができるようになったお陰でアオリ機構を備えたカメラは必要ではなくなりました。

GODOX AD300Proのような小型軽量で出張撮影に最適なモノブロックストロボも非常に安価で入手できるようになりました。

撮影業務の中ではリピートする可能性が高いジャンルです。

ブツ撮りは確かに華やかではありませんが、ごく稀にマジシャンのように崇められることがあります。

暇なときは練習

僕のアシスタント時代の名古屋のスタジオでは「仕事が無いときは自分の好きなモノを持ってきて自由に撮ってて良い」ということになっていました。

フィルム代、現像代は会社が出してくれることになっていました(ブローニーフィルムを使おうとしたらめちゃくちゃ怒られましたが…)。

そこで他のカメラマンさんのライティングの仕方や構図などいろいろ勉強することができました。

現在はデジタルですからどれだけ練習してもお金はかかりません。

練習中に撮れた写真をストックフォトとして販売することもできます。

お盆明けまで仕事は無さそうですので練習しようかなと思っています。