光沢のある球体の撮影方法
岐阜県地域しごと支援センターさんのポスター用に鉄のけん玉の撮影をさせていただきました。各務原の企業さんの出展用に特別に作られた鉄のけん玉だそうです。まずはその作りの精巧さに圧倒されます。ひもを通す穴も開けられていますのでけん玉として遊ぶ事は出来そうですが、重た過ぎて現実には無理っぽいですね。ここまで精巧に鉄を加工する技術ってすごいですね。
ただこれを撮影するのもなかなかの技術とアイデアが必要になります。通常は上の写真のように球体部分が鏡面反射しますので、撮影者は勿論、現場にあるものほとんどが写り込んでしまいます。
で、撮影したものが次の写真です。
なんとか鉄の質感は出せたのではないかと思います。細かい傷が目立ってしまいますのでPhotoshopでのゴミ取りが必要ですが、この方法しかないのではないかと思うのですが…。
撮影方法
ではどのように撮影しているのかと言いますと、LEDの懐中電灯にディフューザーを付けて棒状のライトセーバーを自作しました。先ず全面を黒い布で覆います。三脚のシルバーの部分にも黒い布を巻き付けて反射しないようにします。自分も黒い服に着替えます。左手に黒い手袋を付けます。シャッタースピードを25秒に設定してシャッターを押してからシャッターが閉まるまでの25秒の間、ライトセーバーを被写体の横で上下させます。ハイライト部分の面積はライトセーバーを振る位置をずらしながらちょうど良い位置を探します。
普通にアンブレラやバンクボックスを使うとどうしても発光面の境目がくっきり出てしまいますし、光が強すぎると黒布も照らされて写り込みますし、光が弱すぎると球体の右側が黒くつぶれて周辺と同化して球体がしっかり出てくれません。
ライトセーバーなら、ハイライトにしたい部分を重点的に照らしながら少し上部を照らすだけで球体の輪郭が少し出てくれます。何度か微調整しながら撮影していきます。スローシャッターの場合バックモニターに映像が出るまでシャッタースピードと同じくらいの時間がかかりますので、ワクワクしながら映像を待ちます。
ハイライト部分は後で合成して調節することもできますので、カメラ位置がずれないように三脚に重りをぶら下げるなどしてしっかり固定しておいた方がいいです。
結局、合成するまでもなく多少のゴミ取りでOKをいただきましたので、思ったより早く終了いたしました。
僕の部屋までお持ち頂いた担当者お二人は、岐阜県からの働き手の流出を少しでも食い止めながら、他県の方へ向けて岐阜県で働く事に魅力を感じていただけるよう日々奮闘されているようでした。岐阜県には残すべき伝統文化もまだまだありますし、国内シェア100%を誇る工業製品を作る企業もあるのだそうです。僕の技術はまだまだ未熟ですが、鉄のけん玉のようにもっともっと磨きをかけていかなければと思います。
撮影データ
25s f 25 ISO 250
カメラ NIKON D810
レンズ Micro-Nikkor 105mm F2.8D
焦点距離 105mm
照明機材 LED懐中電灯