カメラマンで飯が食っていけるのでしょうか?
昨日撮影にお伺いした美容室のオーナーさんから「カメラの仕事で飯食ってる人、初めて見ました。」なんて言われました。これまでその美容室を訪れたカメラマンさんはみんな副業でカメラをやってて本業は別にあるという方ばかりだったそうです。
おっしゃる通り。
確かに僕も写真だけじゃなく、動画を頼まれたり、ホームページを頼まれたり、印刷物のデザインを頼まれたり…とカメラだけでは無いですね。とは言え、僕の様に独身の身であればカメラだけで十分食っていけてます。急な出費にもなんとか対応出来てますし、国民年金や健康保険料も一括で支払っております。NHKの受信料もしっかり支払っております。フリーランス協会にも加入して盤石な体制をなんとか築いております。今のところの話ですが。
カメラマンを名乗るからには。
フィルム時代というのは今から10年以上前になりますが、1カット30,000円とか言うカメラマンさんもたくさんおりました。新築物件の撮影などですと天候も考慮して引き渡しまでに数回訪れて撮影し1件100,000円くらいだったかと思います。月に3物件撮影すればもう300,000円の売上です。しかしデジタル時代になってからは引き渡しの前日2時間くらいで撮れるだけ撮って20,000円くらいになりました。雨で外観が撮れなかったり、外構が間に合わなかった場合などは、スタッフさんが自分のカメラで後日撮っておきますってことになります。
もしそのスタッフさんが撮った写真が僕の撮った写真とそれほど差が無ければ、もう僕には頼んでくれないでしょう。そんな時「今までの半額でいいから撮影させてください」なんて言ってしまうとどんどん自分の首が締まってきます。撮影代行業者になってしまいます。
報酬を値下げして仕事の継続を狙うのではなく、技術の向上や機材を充実させるなどしてスタッフさんでは手の届かないレベルの写真を納品すること。安心して任せていただけるよう丁寧な仕事を心がけることが大切になってきます。
プッチコンサル。
パンフレットやカタログ、リーフレットやホームページなどに使われる写真と言うのは、写真1枚1枚に明確な目的があります。
婚礼スナップや学校スナップや家族写真と言うジャンルも確かに目的はありますが、環境に左右されることがありますので、目的に達していなくてもOKな場合が多いです。例えば、日本庭園をバックにツーショットを撮らなければならない日に大雨が降っていればあきらめて屋内での撮影となります。神社でお宮参りの撮影をする場合、お子さんの可愛い表情を残すのが目的なのに、1日中泣いてばかりいれば仕方なく泣いているところを写真に残すことになります。こういう仕事の日は頼む方も頼まれる方もやりきれない気持ちが若干残るものです。カメラマンとしては目的を達成していなくてもお金はもらえますので、気持ちを切り替えるしかありません。
かたやコマーシャルとなると雨だろうが、真夏だろうが、早朝だろうが、自分の体調が悪かろうが、目的を達成しないとお金はいただけません。失敗すれば賠償問題にもなりかねません。
先ずは依頼された写真は確実に時間内に抑えること。中には、ディレクションに難があるかなという場合もありますので、そこは提案としてお伺いしてみる。
「この場合はヘルメットは外していてもいいのではないでしょうか?」
「チラシの背景が白ベタですので、モデルさんが着ている服も明るめのものの方か良くないですか?」
「仕事に集中してるイメージにしたいので、直立よりはやや前のめり気味の方が良くないですか?」
などなど現場での提案は重要です。命令ではなくあくまでも提案です。いつでも引っ込める態勢にはしておきます。こういうところのさじ加減が撮影よりも難しい場合が多いですね。ディレクターさんやコーディネーターさんは大抵現場を仕切っていますので、カメラマンはプッチコンサルに止めておくべきだと思います。