2017年02月

マラソンの撮影引退

マラソンシルエット

マラソンブームの陰り

昨日は東京マラソンが開催されて報道番組でもたくさん取り上げられていました。この東京マラソンがきっかけになって市民マラソンのブームが続いていました。10年くらいにはなるのではないでしょうか。それに付随して健康ブーム、肉体改造、ヨガ、フィットネスなど盛んですね。

インターネット写真販売というビジネスモデルも平行して成長してきたようです。

ブームというものは必ず下火になる時期が来ていつかは忘れ去られてしまうものです。ぶら下がり健康機とかタマごっちとか抱っこちゃん人形とか…。

昨日の報道番組によると市民マラソンにもその兆しが出てきたようです。各地で次々と新しい市民マラソンが開催され続けて、10年程経ってついに飽和状態になりました。こうなってしまうと、参加ランナーの取り合い合戦となり、中には募集定員を割れてしまう大会も出てきます。こうして赤字に陥る市民マラソンの多くは、実はブームに乗っかった大会ではなく、それ以前から村の伝統行事として開催されていた大会のようです。地域の活性化に繋がればというボランティアの協力だけで開催できればまだ良いのですが、赤字になってまで続ける意味が無いですからね。

カメラマンの姿も見かけなくなりました。

僕は3年程撮影をさせていただいていましたが、やり始めた当時に比べると、同業者も見かけなくなってきました。参加ランナーさんの参加目的は健康のためだとか、家族との絆を深めるためだとか、SNS投稿のためのネタのためだとか、単なるお祭り好きとか…いろいろあるのでしょうが、「颯爽と走っている自分の姿を綺麗な写真に残す為だ」という目的のランナーはほとんどいないと思います。「あぁ、撮影係の人がいるんだ。」程度にしか僕たちは見られていなかった気がしています。富士山やお城をバックに写真を撮りたければスマホで十分です。SNSに投稿するならスマホじゃないと不便です。

ランナーさん達が求めているのは、超高額なカメラ機材で熟練の撮影技術を駆使して撮られた2Lサイズの紙焼きプリントではなく、自分の持っているスマホのシャッターボタンを自分の代わりに上手に押してくれるカメラマン?のようです。

そこでマラソンの撮影を辞める事にしました。

こうなってくると、今後は仕事が激減するか、報酬がスズメの涙になるかは目に見えています。どんな撮影の仕事もリスクは当然ありますので、報酬とリスクとのバランスを考えて仕事を選ばなくてはいけないのですが、マラソンに限らずスポーツ撮影という分野はあまりにもバランスが悪いのです。悪天候時の撮影の機材故障のリスク、ショット数過多による故障のリスク、遠方で開催される場合の拘束時間のリスク、データ整理にかかる拘束時間のリスク、高価なカメラ機材や高性能PCの管理やメンテナンスにかかるコスト…。

どう考えてもリスクが大きいのです。遊ぶお金と時間が潤沢にあればとても楽しい撮影なのですが、僕のような甲斐性無しが出来る仕事ではないのです。

フィルムの整理

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たまにはフィルムも使ってみるか。いや…やっぱやめた。

少し部屋の掃除をしていたら、埃のかぶった箱が出てきたので開けてみると懐かしいフィルムが出てきました。この姪っ子現在小学5年生なので、7〜8年程前のフィルムだと思います。その当時はすでに仕事はデジタルカメラが当たり前になっていました。ニコンD200なんかを使っていた時期だと思います。フィルムカメラはニコンD4やマミヤRZ67やハッセルブラッド500c/m等素晴らしい名機を所有していましたので、趣味仲間との撮影会や個人的な作品撮りにフィルムカメラは大活躍でした。「どんなにデジタル化が進んでも僕はフィルムを続けるぞ!」と硬く決意していた時期でした。

ニコンD3で完全にデジタルへシフト!

ニコンD3を購入すると、完全にフィルムカメラの出番は無くなりました。印刷物にも充分な解像度と高感度の撮影が可能になりました。高感度が使える様になったおかげで、ストロボも大型である必要もなくなってきました。クリップオンストロボでも大抵の撮影はこなせます。クリップオンストロボで撮影しているとどうしても簡単に撮っているようにみえてしまいますので、ギャラの交渉には辛いところです。デジタルカメラなら誰でも簡単に写真が撮れるのですが、ストロボを使う場面ではそこそこ勉強していないと無理ですよね。それに小型ストロボにはやはり限界はあります。光量不足や光源の面積の小ささなど、アイデアで大型ストロボと遜色の無いように工夫はしますが、限界がありますね。小型ストロボの限界を知っておく事も大切です。

スナップカメラマン受難時代!?

ハプニングのおかげで早めの帰宅。

今日は北名古屋市の工事現場でブロック塀の補強材の取り付けの様子を静止画と動画で撮影する仕事でした。動画はニコンD810に先日届いた7インチモニターのBlackmagic Video Assist 4KをHDMIケーブルで繋いで撮影してみました。Blackmagic Video Assist 4Kは収録もできるモニターなのでバッテリーが持つ限り、メディアが持つ限り撮り続けることができます。7インチですのでピントの確認もしやすくなります。

撮影は順調に進んでいたのですが、穴を掘るためのドリルの電気系統が故障して補強材の設置作業ができなくなってしまいました。仕方がないので途中で撤収となりました。

脱スナップカメラマンに成功したような感じ。

婚礼スナップ

時間ができたので久しぶりにFacebookをチェックしてみました。カメラマンの友人の投稿がいくつかあるのですが、Facebookに投稿しているのはほとんどスナップカメラマンさんですね。家族写真、結婚式、子供の写真など人物をターゲットにしたスナップ写真です。

フィルムの時代は人物写真は写真館さんの仕事、商品撮影はコマーシャルカメラマンの仕事、個展を開催するのは趣味のアマチュア風景カメラマン…。こんな感じで棲み分けされていましたが、デジタルの時代になってからはごっちゃごちゃですね。

僕もカメラを持ってからは、一生懸命人物写真を撮ってきました。安いカメラでもチープなレンズでも大きなストロボが無くてもそこそこ喜ばれる写真は撮れてしまいますからね。簡単なんです。学校関係や結婚式のスナップを引き受ければ日当10000円〜30000円くらいは貰えますし。

どうして結婚式のスナップカメラマンのステータスが低いのか?

僕は婚礼スナップは趣味の時代を含めると10年ほど携わってきました。年下のパートナーカメラマンに提携式場を乗っ取られてからは婚礼の仕事はほとんど無くなってしまいました(奪い返す気もありませんでしたが…)。これをきっかけに仕方なく商品撮影や動画撮影を請け負い始めて3年ほどになります。

婚礼カメラマンを10年もやっていたのにカメラマンとしての評価は少しも上がりませんでした。僕の向上心が無かったのが原因ではあるのですが、婚礼スナップカメラマンに求められるのは、カメラマンとしての技術や感性よりも、遅刻しない事、身だしなみ、言葉遣い、仕草…つまりクレームにならなければ写真はどうでも良いという風潮になってきました。そこそこのクォリティであとは編集でなんとでもなる。その代償としてギャラが安くなるが文句を言うなよってことですね。これでは婚礼スナップカメラマンの評価は上がりません。

一方、商品撮影というのはクライアントさんはその商品を少しでも魅力的に見せてなるべく高く売るのが目的ですので、カメラマンの写真の善し悪しは勿論ですがそれ以上に「売上げが上がったかどうか」がカメラマンの評価になるシビアな撮影です。

その仕事がリピートするかどうか。

商品撮影の場合、クライアントさんの会社が倒産しない限り継続されやすい仕事です。僕の写真の評価はリピートするかどうかです。下手糞だったり、売上げが下がったりしてしまった場合は他のカメラマンを探されることになります。

婚礼スナップの仕事が無くなってからスポーツや商品撮影や動画撮影などいろいろチャレンジしてみましたが、3年ほど経つとどのくらいリピートしているかが分かってきます。評価が上がれば仕事の単価も上がっていきます。そろそろ確定申告ですが、現在ようやく婚礼スナップ時代の年収を上回ってきました。機材もどんどん増えていっています。求められるクォリティが高ければやはりそれなりの機材が必要ですからね。