マラソンブームの陰り
昨日は東京マラソンが開催されて報道番組でもたくさん取り上げられていました。この東京マラソンがきっかけになって市民マラソンのブームが続いていました。10年くらいにはなるのではないでしょうか。それに付随して健康ブーム、肉体改造、ヨガ、フィットネスなど盛んですね。
インターネット写真販売というビジネスモデルも平行して成長してきたようです。
ブームというものは必ず下火になる時期が来ていつかは忘れ去られてしまうものです。ぶら下がり健康機とかタマごっちとか抱っこちゃん人形とか…。
昨日の報道番組によると市民マラソンにもその兆しが出てきたようです。各地で次々と新しい市民マラソンが開催され続けて、10年程経ってついに飽和状態になりました。こうなってしまうと、参加ランナーの取り合い合戦となり、中には募集定員を割れてしまう大会も出てきます。こうして赤字に陥る市民マラソンの多くは、実はブームに乗っかった大会ではなく、それ以前から村の伝統行事として開催されていた大会のようです。地域の活性化に繋がればというボランティアの協力だけで開催できればまだ良いのですが、赤字になってまで続ける意味が無いですからね。
カメラマンの姿も見かけなくなりました。
僕は3年程撮影をさせていただいていましたが、やり始めた当時に比べると、同業者も見かけなくなってきました。参加ランナーさんの参加目的は健康のためだとか、家族との絆を深めるためだとか、SNS投稿のためのネタのためだとか、単なるお祭り好きとか…いろいろあるのでしょうが、「颯爽と走っている自分の姿を綺麗な写真に残す為だ」という目的のランナーはほとんどいないと思います。「あぁ、撮影係の人がいるんだ。」程度にしか僕たちは見られていなかった気がしています。富士山やお城をバックに写真を撮りたければスマホで十分です。SNSに投稿するならスマホじゃないと不便です。
ランナーさん達が求めているのは、超高額なカメラ機材で熟練の撮影技術を駆使して撮られた2Lサイズの紙焼きプリントではなく、自分の持っているスマホのシャッターボタンを自分の代わりに上手に押してくれるカメラマン?のようです。
そこでマラソンの撮影を辞める事にしました。
こうなってくると、今後は仕事が激減するか、報酬がスズメの涙になるかは目に見えています。どんな撮影の仕事もリスクは当然ありますので、報酬とリスクとのバランスを考えて仕事を選ばなくてはいけないのですが、マラソンに限らずスポーツ撮影という分野はあまりにもバランスが悪いのです。悪天候時の撮影の機材故障のリスク、ショット数過多による故障のリスク、遠方で開催される場合の拘束時間のリスク、データ整理にかかる拘束時間のリスク、高価なカメラ機材や高性能PCの管理やメンテナンスにかかるコスト…。
どう考えてもリスクが大きいのです。遊ぶお金と時間が潤沢にあればとても楽しい撮影なのですが、僕のような甲斐性無しが出来る仕事ではないのです。